相手を指導する時の表現
考えるな!感じるんだ!
これは、東洋のスーパースターとしてハリウッドのウォークオブフェイム(Walk of Fame)にその名前を刻まれたブルース・リー(Bruce Lee)が映画「燃えよドラゴン」(Enter the Dragon)の中で弟子にカンフー(Kung fu)の指導で言う有名なセリフなのです。
Don’t think. Feel!
ブルース・リーは、生まれはサンフランシスコなのですが生まれて間もなくして香港に移住しているため、広東語なまりのある英語をしゃべります。なので「ドンシンク、フィ~ォ」
という風に聞こえます。気になった方は、ぜひ一度映画をごらんください。
もっとも彼は、ワシントン大学哲学科を首席で卒業していますから、映画の中で東洋人であることを意識していたため、わざとそんな風に発音していたのだという評論家もいるくらいです。
このフレーズだけが、一人歩きして有名になってしまったのですが、このセリフの前にブルースがしゃべるセリフもなかなか哲学的で奥が深い表現なのです。ここでは、その後に彼が弟子に言った表現にも少し触れておきましょう。
It’s like a finger pointing away to the moon.
Don’t concentrate on the finger, or you will miss all the heavenly glory.
それは指で月を指し示すようなものだ。
指先に意識を集中していては、その先にある美しい輝きを見失ってしまう。
これは、哲学を勉強していたブルース・リーらしいセリフなのですが、ここで言う「月」とは、「何かのこの世に存在するもの」を意味し、「月を差す指」とは存在を表わす言葉や概念
を意味しています。こうした言葉や概念を離れて、その存在をつかむ事を禅では「悟り」と
呼んでいるのです。ブルース・リーは、鈴木 大拙の禅に関する書籍を読み、そこから影響をうけて思いついたセリフであると言われている。